Tさん(箕面市在住)

平成19年春、鬱状態で苦しんでいる最中の、乳がんの告知でした。診察室の中で、今おかれている自分の状況を、現実として受け止められず、拭っても拭っても溢れ出す涙と、頭の中には家族の顔が浮かび、何よりも大切な人たちの側に居たい、顔を見ていたい、生きていたいと願っていました。

告知から2週間ほどで温存手術を受け、術後の細胞診断でホルモン受容体がなく、抗癌剤治療が始まりました。

吐き気やだるさ等は、副作用止めのおかげで我慢できる状態でしたが、私にとっては、脱毛と鬱状態は予想をはるかに超える辛さでした。時には、錯乱状態になり泣き叫び、物を投げつける、そんな状態が2ヶ月ほど続き、このままでは自分で自分自身を傷つけてしまいそうで、抗癌剤治療を2回でやめることにしました。

治療をしてくださっている先生に、何て伝えたらいいのか悩みましたが、先生は「そんな思いまでしてすることはないよ、抗癌剤治療はできなかったけど、その事で自分を責めることもないよ、あなたにはあなたのできることがある」と言ってくださって、ほとんどの方が抗癌剤治療を頑張って受けていらっしゃるのに私はやり遂げられなかった、そんな心の中の劣等感をやわらげてもらいました。

乳がん治療は、女性らしさを失っていくようで、女性特有の辛さを伴うものだと思います。

私は、あの日病室から見た桜の花を、今年は自宅の窓から見ています。
遠い先の未来のことは考えられないけど…..ちょっと先の楽しいことを考えることが今の私の一番の楽しみです。

今でも襲ってくる恐怖感に泣く日もありますが、失ったものや、出来なくなったことばかり数えないで、今できることを、できる範囲で、できるだけ楽しもう!
ようやくそんな風に思えるこの頃です。