相原病院での乳がん検診について

相原病院では、40才以上の方を対象とした箕面市・池田市・豊能町の乳がん検診を行っております。 乳がん検診で精密検査となった方は、豊中市、吹田市、茨木市、大阪市などお住まいによらず受診頂けます。 予約制ですが、しこりなど症状のある方は、当日でも診察できる場合もありますのでお電話ください。 検査結果は当日にご説明します。細胞診も、早ければ翌日に説明できます。


マンモグラフィーによる乳がん検診のメリット

日本人の女性のがんで「乳がん」は最も頻度が高く、また乳がんにかかる日本人女性は年々増加し、毎年約9万人が乳がんにかかります。女性が生涯に乳がんにかかる可能性は、欧米人で6-7人に1人、日本人で11-12人に1人といわれます。 マンモグラフィーによる乳がん検診で乳がん死亡が減るため、マンモグラフィーによる乳がん検診が行われています。 また、乳がんは早期に発見できると、治る可能性が高くなります。手術で乳房を残せる可能性も高くなり、抗がん剤を使わない可能性も高くなります。 乳がん検診は、マンモグラフィーと視診・触診を併用します。マンモグラフィーによる乳がん検診では視触診だけと比べて、乳がんが見つかる確率が2倍~3倍になり、乳がんが早期に発見されます。 マンモグラフィーによる乳がん検診のデメリットは、x線への曝露がありますが、日本とニューヨークを飛行機で往復の間にあびる宇宙線の量と変わらないので、心配ありません。


マンモグラフィー検診の限界

マンモグラフィーは、乳腺が脂肪にかわった人には乳がんを発見する力が強い一方で、乳腺が多い人では乳がんを発見するパワーが落ちます。なぜでしょうか? マンモグラフィーでは、がんは白く、脂肪は黒く写ります。つまり、脂肪に置き換わった人は、黒地に白い乳がんが非常に分かりやすい一方、乳腺は白いので、乳腺が多い人(デンスブレストといいます)は白いバックに白い乳がんで非常に見つかりにくい。乳がんのしこりが手で触れていても、マンモグラフィーでは乳がんが分からないこともあります。特に若い方は乳腺が多く、マンモグラフィーで乳がんを発見できる割合が低くなります。


超音波検査の役割

超音波検査(エコー)で、乳がんの発見率が1.5倍にもなります。マンモグラフィーでわからない乳がんがエコーで見つかることがしばしばあります。乳がん死を減らす効果は証明されていませんが、早期発見により、乳がんの手術が小さくすんだり、抗がん剤をさけられます。症状がない場合は自費になりますが、特に若く乳腺の多い方は、自治体の乳がん検診に加え、超音波検査(エコー検査)をお勧めします。


検診で見つかった乳がんの例

乳がんにかかる女性は年々増えています。現在、日本人の女性でかかるがマンモグラフィーによる乳がん検診で早期に発見された方の経過を、ご本人の承諾を得てご紹介します。 この方は60才代の女性で、自覚症状がなくマンモグラフィーによる乳がん検診を受診されました。触診では非常にわかりにくかったのですが、マンモグラフィーでは1cmに満たない、がんを強く疑わせるしこりがはっきりと写し出されています。 がんを強く疑わせるしこり 超音波の画像もがんを疑わせる典型的なものでした。 細胞診では、悪性の疑いどまりで確定診断にはいたりませんでした。

硬がんという種類の乳がんでは、細胞が十分採取できないため、細胞診では確定診断が困難なことがあります。この方も、画像から硬がんが疑われました。しこりが大きければ針生検を行うところですが、しこりが非常に小さかったのと、画像からがんの可能性が非常に高いと判断したため、診断と治療をかねて手術をお勧めしました。 手術直前に超音波装置で腫瘍の位置を確認し、そこから1.5cmのマージンをとって乳腺を円状に切除する、「乳房温存手術」を行いました。 わきのリンパ節は、乳がんの場合切除するのが標準ですが、がんが小さかったために転移をしている可能性は10%以下と見積もられます。そのために、センチネルリンパ節生検という新しい方法を行いました。病理組織の結果は、最大浸潤径5mmという非常に小さな乳がんでした。幸いセンチネルリンパ節に転移がなかったために、わきのリンパ節の切除をさけることができ、現在リンパ浮腫などの後遺症はみられていません。 マンモグラフィー検診も完全ではありません。乳腺の状況によってはがんが見つけにくい場合もあります。公の基準でも80%以上のがんを見つけられれば合格です。ということは、20%のがんは見落としてしまうことになりますが、医療の限界といえます。 しかしながら、視触診だけの検診と比べると、発見率は2~3倍になります。この方のように、早期に見つけることができれば、乳房を切除する必要もありませんし、わきのリンパ節の切除もしなくてすむため、後遺症もほとんどありません。 検診をお受けになられて、乳がんを早期に発見すると、このようなメリットがあります。ご友人やご姉妹・お母様と一緒に乳がん検診にお越しになられてはいかがですか?